現在、奈々は深谷市にある「さくらんぼ系の理学療法士」、板橋区にある
「普通の理学療法士」の先生の2つにお世話になっています。
「さくらんぼ系の理学療法士」さんは、地力をつけるための運動をメインに
こなし、身体全体の筋力をバランス良く発達させます。
「普通の理学療法士」さんは、これから、理解力が増すにつれ、自分の意志
通りに動かないことにイライラし始めるので、心から楽しむことを第一とし
て、レットとしての機能訓練を、近くの作業療法士さんと連携して、進めて
います。
「普通の理学療法士」さんについては、作業療法士さんの項で述べますので
ここでは、割愛します。
ここでは、主に、筋力が全体的に弱い子供の地力の付け方について紹介します。
奈々は、身体全体の筋力が弱いため、3才になった今でも、四つ這いの姿勢を
きちっととるのが難しいのですが、身体全体はすこしづつしっかりしてきてき
ました。
以前は、後ろに倒れる時、腹筋が無かったため、「パタン」と勢い良く倒れて
しまい、後頭部を強打していましたが、今は、腹筋でこらえることが少しづつ
できるようになりました。
でも、後頭部を強打しても、お友達に髪の毛を引っ張られても、あまり痛みを
感じないのか、ニコニコ笑ったままです。
一般に、レットの子供は、痛覚は感じにくいようです。
何をするにも、まず、腹筋の強化が大事です。
座る姿勢を保つ、立つ時も、全ての場面で腹筋は大事な役割をします。
奈々は、この腹筋で、座位も安定し、後ろへ転ぶ時にも、頭をあまり打たなく
なりました。
奈々は、もともと、パラシュート反射と言われる反射がありませんでした。
パラシュート反射とは、子供を抱えて、頭を下にした状態で、地面に頭を落とす
ような動作をすると、普通の子供は反射的に手を出して頭をかばいますが、奈々
は手が出ませんでした。
この練習は、立たせたままで、体を後ろから押して、防御反応として手を付かせ
る運動です。
この反射は、身を守る反応で、人間は本能として持って生まれてくるものですが、
訓練によっても身に付けることができるものです。
左側の写真は、立った状態、右の写真は、倒れて、手をついた状態です。
這っている状態で、左右どちらでも、自由に方向転換ができるように練習
しています。
この運動は、奈々のような筋力が弱く、手、足をあまり使わない子供に良
い運動です。回旋と呼んでいます。
自分でやってみると分かりますが、回旋するためには、手、足を使わなけ
ればうまく回ることができません。
奈々は、動くための意欲がないため、いつも苦労しています。
左の写真は、床の上で、右の写真は、ボールの上で行っています。
ボールの上だと、落ちないように踏ん張る必要もあり、子供の防御本能を
利用して、回旋をさせています。
(でも、奈々は、あまり踏ん張りません)
這い這いをバカにしてはいけません。
小児神経の大先生も、乳児期の這い這いが非常に大切であると言っています。
這い這いとは、両手の交互動作、足の交互動作、手と足の連携動作と、右脳と
左脳の連携が必要で、神経コントロールとしても非常に高度な運動で、歩くよ
りも難しいと言われています。
レットの子供でも、歩いている子供はいますが、這い這いできる子はいません。
この這い這いができたら、レット症候群ではないとさえ言われています。
乳児期の這い這いと、昼夜の区別がレットにとって非常に大事です。
左の写真が、斜面での手押し車、真ん中の写真が、斜面での這い這い、右側の
写真がボールの上での這い這いです。
なるべく、歩行のリズムでリズミカルにやると効果があるそうです。
本来の念願である、歩く練習です。
歩くためには、各関節の力、足の筋肉、前後左右のバランスと、奈々にとっては
課題は山積みです。
でも、頑張った成果も少しづつ出てきています。
以前は、足を自分で地面に着くことを嫌がっていましたが、最近は、10歩程度
ですが、介助すれば、歩くことが出来るようになりました。
歩く時に、足を着くのを嫌がるので、刺激の強い、芝生で足踏みしているとろこ
です。
少しづつではありますが、出来るようになりました。