保育園を見学させてもらった頃、「さくらさくらんぼの障害児保育」という本を
読みました。
体の余計な緊張が出ないように、徹底して、ゆったりと揺さぶりをします。そし
て、体の脱力を促します。
体に力が入っていると、体がかたくなってしまうばかりでなく、うまく動くこと
ができません。
お腹の上でまたがせ、仰向けにして、左手で首筋の後ろを支え、親と視線が合う
ようにしっかりと、支え、右手を子供の腰にあて、やさしくゆさぶります。
特に、脳に障害のある子供は、この時、親と視線が合わず、目がきょろきょろし
たり、視線が安定しません。
頭をしっかり支え、腰をゆったりとゆさぶりながら、視線を合わせるようにして
いると、時間はかかりますが、目線が合うようになり、目の動きも安定してきま
す。
余計な緊張を取り除くことを徹底的に行うことにより、手や足が自由に動かせる
下地造りをします。
這うことは、障害児に限らず、健常児でも大切なことだそうです。
這い這いできることが当たり前と思っていましたが、這い這いは、非常に高度な
複合運動です。
手と足を連動させて動かし、さらに、左右の連動が入ります。
レットの子供は、左右の交互運動が苦手です。
この這い這いは、脳を刺激し、脳の発達を促すといいます。
手や足の指をしっかり使う運動をしっかりやることを大事にします。
「指は突き出た大脳」という、斉藤先生の言葉があります。
指から入った正しい刺激は、脳を直接刺激し、あたかも刷り込みのように、脳が
正しい動かし方を覚えます。(一種のリハビリテーションだと思います)
そして、運動をおしつけるのではなく、形ではなく、本人の意欲を出すことを大
事にします。(好きこそもののじょうずなれの言葉にもあります)
ここでは、障害児を特別扱いするのではなく、同じ一人の子供として生活し、
ハンディを持っているところは、子供を含め、周りの人たちが補うことが自然
に行われています。
ここでは、保母さんの子供に対する愛情と、母親の愛情に支えられ、医師から
は、「一生、歩くことはできない」と言われた子供が、元気に自分の足で歩い
ている姿があります。
障害の重さもまちまちで、育った全員が、歩行を獲得したわけではありません
が、運動機能は確実に進歩し、豊かな感情を持っています。
奈々も、しばらくぶりに会う人が、「体がしっかりし、また少し、お姉ちゃん
になったね」と言ってくれます。
私たち夫婦にとっても、本当に嬉しい言葉であり、奈々にとっても、最高の誉
め言葉なのではないでしょうか?
ここでの障害児保育とは、固有の障害を直すための保育ではなく、日常の遊び
の中で、体の緊張を解きほぐし、力を付け、健常児とのふれ合いのなかで、感
情面の成長を促し、親は、子供の専任保母となり、子供の障害を含め、子供へ
の接し方を学ぶ事ではないかと思います。